Harmonium / ハルモニウム(ハーモニウム) 


Harmonium(India style)

ハルモニウム(ハーモニウム)

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念のため、タイトルとなる楽器名の後ろにインドスタイル)と付け加えています。

というのも、これを書いている筆者はインドという国の文化圏の中で1から音楽を始めたので、ハルモニウムと聞けば、インド人の使用する小さな箱型の床や膝の上に置いたりして演奏するタイプのものを迷わずイメージしていました。

しかし、調べると西洋文化圏でハルモニウムと言えば、一般的に足踏みタイプなどの種のリード•オルガンを指すようですね。(いわゆるオルガンの種)



** 概要 **

約3オクターブの鍵盤があり、ふいごを左手で開閉しながら空気を送り、右手の鍵盤での開閉によるリードによって音が出ます。

姿勢は座して胡座の状態で、半分を膝の上へかけるようなスタイルとそのまま床に置くスタイルがあります。

また、床に置くスタイルでも胡座の姿勢と外側に来る左足を立てる姿勢もあるようです。

若干の仕掛けもあり、ツマミの開閉により、いくつかのドローン音(基音)が鳴るものもあります。

また、他のツマミの開閉システムななどでは、ツマミを設定するだけで、一つの音を押すと同じ音程の1オクターブ下の音が物理的に必ず同時におさえられる仕掛けもあり、音の厚みを得ることができます。

高価なものはキーチャンジ機能もあり、内部の本来の鍵盤に相当する仕掛けの板の層と、手前の移動式の鍵盤直結の板が平均律によって、噛み合う仕組みになっています。

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これにより、どのキー(調)でも、そのキーを中心にお馴染みのドレミの配列で考え、演奏する事が出来るようになっています。

この機能は絶対音という指定されたドレミ音の一貫性のある世界観を持つ西洋文化と異なり、インド特有の基音があるところをドと考えて相対的にドレミを捉える文化の違いにより、こういった特殊機能が生まれたのかなと筆者は考えます。

演奏時は、箱型の鍵盤楽器がより立体的に起き上がるようになっていますが、保管時はそれらをたたみ小さくし、蓋をすると持ち運びが出来るようになることから、利用勝手が大変良いです。

インドでは単旋律を中心に伴奏楽器として用いられることが多いですが、片手とはいえコードを演奏できることから、賛歌やその他の多くの音楽で用いられます。


** 歴史 **

インドにおいてのこの種のハルモニウムの歴史はそう深くはなさそうです。

ただ、オルガンという種として考えた場合、歴史はかなり深くまで分け入っていくようです。

とても簡潔ですが、まとめますと、、

紀元前264年に水を使った水圧を活かし空気を送るオルガンがギリシャにあったとされます。

最終的な音の出し方はパイプ。

パイプの管の長さの違いにより、音程が違う。

この音程の違う管を鍵盤と連携させたもののようですね。

そして、エネルギー源となる水圧から空気を送るタイプから、足や別の人の手を借りて現在のようなふいごで空気を送る、または吸うなどで音を鳴らす原動力を確保する種も紀元前1世紀ごろにはあったと確認されているようです。

9世紀頃には、ヨーロッパで再び大きくオルガンが普及。

13世紀には、それまで宗教的な縁は必ずしも無かったようですが、この頃からは協会や宗教とより親密になって発展したようです。

音の出力方法はほんの約200年前ごろまでは、引き続きパイプ式。(パイプオルガン)

しかし、この頃にサイズの大きなパイプオルガンに対し、弁の振動で音がなるリード式が比較的大きくないサイズで登場します。

(というのも、パイプオルガンのメーカーは楽器メーカーであるのに「ビルダー」と呼ばれたほどに、建築物のように協会などの壁と一緒に作られた。このように、パイプオルガンは非常に大きく、一般の庶民向けにはまだまだ遠い存在だった。)

リードオルガンは全世界に普及し、やがて徐々に衰退。1980年代以降はシンセでも容易に音色を模写できたり、ピアノなどの強い存在の影響からも、より衰退の道のりを辿ります。

現在は各財団や愛好家などが楽器の保存に努めています。

インドの小さな箱型の床に座って演奏するサイズのものは、リード式で音が鳴り、鍵盤を弾く手と逆側の手で、ふいごを使って空気を送ります。

この種は、1500年代のポルトガルのインド進出や1700年代以降のイギリスなどのインド進出と後の植民地化により、リードオルガンが入ってきた後、座して演奏するインドのスタイルへと進化したとされています。

インドにおいて、使用の用途は多岐に渡っており、祈りの儀式や唱歌などでは、僧や声楽家自信が演奏しながら歌います。

また、北インド古典音楽の声楽家の即興演奏の旋律を単旋律においてサポートする伴奏や、舞踊などの伴奏にもしばしば用いられるようです。

また、やはり鍵盤楽器には変わりなく、モバイルな型式とコード演奏も出来る事から、キールタン(讃美歌)やその他の多くのコンテンポラリーの音楽として、現在は世界中で愛されています。



15.09.2014 gumi


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Tanpura / タンプーラ 

Tanpura



** 役割: ① 基音として **

パッと見た感じシタールと似ているので、ややこしいですが、よく見るとタンプーラにはフレッドのようなものがありません。

実はこのタンプーラという楽器は、北インド古典音楽を演奏する上で極めて重要でありつつ、音楽自体を背景の壁紙のように支える役割であり、決して主役のようなポジションをとる事はありません。

北インド古典音楽には独自の音階の理論体系とパターンが無数にありますが、内容は非常にシンプル。

ピアノの鍵盤と絶対音感や調をイメージして頂きたいのですが、インドの発想はこちらでは無く、「どの音でも、基準となるドの音。になりえる。」というようなものです。

そして、基準となる音がチューナーのようにずっとビーー!っとなっていてくれれば、奏者は基準を把握しながら、耳を頼りに音を表現できますが、これが無いと無重力空間のように、ふわふわした曖昧で不安定な演奏になります。

もちろんチューナーを鳴らしておく訳にはいきませんし、そもそも少し前のインドにそのようなものはございません。

そこで、この倍音を豊かに含む素晴らしいドローン音(基準となる音)をタンプーラという弦楽器が常に提示し、演奏の背景音を司ります。




** 役割: ② 色味のある背景として **


北インド古典音楽は、ただただ1本の旋律をヴォーカルやメロディー楽器が1人で奏でる1本線の即興の線画だと考えてみて下さい。

( 後半にはタブラなどの打楽器も入りますが、メロディー楽器は1人というのがスタンダードです。)

さて、真っ白なキャンバスに1旋律ずつ丁寧に描いていくのが、北インド古典と申し上げましたが、実はこの真っ白の部分をほんの少しだけ色味をつけるのもタンプーラの役割です。

例えば、真っ白なキャンバスに薄い薄い黄色や水色で描いてもあまりはっきりと色味が出ません。

逆に全面が紺やワインレッドのような深く濃い色の中にに、同じ薄い黄色や薄い水色を残すと、色味が際立ちます。

このようにタンプーラも基準音となる弦をメインとして多く提供しながら、1本か2本は色味になるような基準以外の音も含みます。

具体的な良くある例ですと、基音から4度上や5度上の音の事です。

ドに対して、ファやソですね。


この設定は主旋律の要となるラーガという音階などの制約パターンによって、変えられます。

ですから、全く同じ音階を使ったラーガ通しでも、背景をガラリと変え、強調音や動きの制約などに違いをつける事で全く違った印象を持つラーガとして輝きます。



** 演奏方法 **

構え方はタンプーラやタンプーリ(小サイズ)などや奏者の体の大きさによって大きく2つに分かれるようです。

胡座の膝や腿に立てて起こし、直立のような感じで支えるスタイル。

または、楽器を寝かせるスタイル。

何れにせよ、小指と親指以外の中3本の指の先の腹あたりで弦に触れ、丁寧に指をボディーの方へ落とす事で弦が振動します。



** 仕組み **

4本から6本の弦がはっており、最初の1、2、3本の弦で役割の②で触れたような「色味」となる音程に調律します。

残りの弦はオクターブ違いで高い基音が約2本、最後に低い基音が1本。という形が通例です。

弦はシタールや他の弦楽器に良く見られるジャワリというブリッジにかける事で安定した緊張が得られます。

弦楽器の中でも異例のごとく長い伸びと、うねりのある倍音の重なりが生まれる秘密は、弦とジャワリの間に綿糸をかませることで、若干の隙間が生じ、その絶妙の振動が継続する為です。

また、タンプーリなどの小サイズで高音域のものは、糸をかませないタイプもあります。


** 歴史 **

あまり詳しい事を研究できませんでしたが、約500年前にはほぼ現在のものと同系種のものが使われていたようです。

これは、この頃の彫刻物や絵画などの綿密な描写もあるようです。

また、この頃はラーガ音楽としても最盛期とまで言われたターンセーン氏が生きた時代ですから、ラーガの細かな表現を妥協なく行っていた事を考えると、タンプーラは必要不可欠なものとして存在したと思われます。

そして、想像になりますが同型種でなく、ただ「基音を提示する」というもっとシンプルな役割の弦楽器はもっと前からあったんだろうなと思います。



** 機械のタンプーラ **

現代においては数十年前から、練習用として、キーや細かなピッチコントロールが可能な機械のBOX版タンプーラマシンが流行していました。

約10cm20cm四方のもので古いタイプは外装が鉄素材で出来ている為、カバンに入るものの、重かったり少し邪魔だったりしました。

スマートフォンの流行以降は、アプリとして登場し、そこには練習用のタブラループシステムなども含め、一つのアプリ内に調節可能な多くの要素があり、世界中の練習生に愛用されています。

またBOXタイプも、スマートフォンアプリも、コンサート会場では頻繁に利用される事があります。


6.9.2014 gumi

Bansuri バーンスリー 

Bansuri バーンスリー



** 概要 **

6つか7つの抑える穴のある、竹でできた横笛です。

竹はインドのアッサム州のものが多く、大きな笛の素材となる竹は一節の長さが長くないといけないのですが、こういったサイズの竹は日本などではなかなか生えないそうです。

笛の吹き口の近くには、コルクや竹そのままの節などがあり、指を添える方向だけに空気が流れるようになっています。

小さく短い笛は音が高く、大きく長いものは、低い音がでます。

半音などは、指の開きを半分ぐらい開けるなどして、細かな微調整を図ります。

押さえ方は、指先で穴をふさぐスタイルと指の腹で抑えるスタイルと大きく分かれるようです。

現在の北インド古典音楽では、一般的に6つの穴を押さえるスタイルが主流です。

南や他エリアのインドの横笛になると7つや8つの穴を押さえるものもあるようです。

リードは無く、下唇を管に当て固定し、上唇は管と離れた状態でブレスの微調整を図ります。

笛自体が、温度や湿度に影響を受け基礎となる音程(ピッチ)が常に変化します。

そして、奏者のブレスの強さやブレスの挿入角度などによっても、音程が変わってきますので、穴を抑える運指での目安があるものの、曖昧で繊細でもある事から、音感を拠り所に慎重に演奏する事が必要です。

音域はそれぞれ2オクターブ半前後で、個体のサイズによって音域(キー)が変わります。

西洋フルートの奏者様などは、1本の笛で全ての調を吹けるように練習するようですね。

キー音がある中で主旋律の演奏体系をとる北インド古典音楽のバーンスリー奏者は、左手で3つの穴を抑える所をメインのキー音として相対的に考え練習しており、転調なども無い音楽性もあってか、1つの運指の理解のみで、笛のサイズをキーに合わせて変えていく事で対応している人が多いようです。だから、たくさんのサイズの笛を持っていたりします。(基本的に主旋律の主奏者である事がスタンダードな音楽なので、極端に言えば一つの笛のみあれば成立するという事でもあります。)

それぞれのサイズの笛を持ち合わせておくというのは、やはりキー音から数えて音域的にも丁度良い幅が都合良く相対的にシフトする事が更なる理由の一つとしてあげられます。



** 歴史 **

バーンスリーという言葉の語源は、bans「竹」+sur「メロディ」から来ているようです。

インド楽器の中でも最も古い楽器のうちの一つで、インド神話のクリシュナ神が常に横笛と共に描かれている事から、そのレベルで紀元を辿ると約5000年前まで遡ってしまいます。

実用的な使用の紀元は定かではありませんが、西暦100年ごろの仏画にも描かれているそうで、古の宗教音楽と共に寄り添ってきた事は間違いなさそうです。

今でこそ、深い音楽体系のある北インド古典音楽の一角を担っているバーンスリーですが、少し前までは映画や歌、踊りなどの伴奏楽器として「軽快な音色」を担当するような位置づけでした。

その為、小さく短かい管のものが主流でした。

しかし、ほんの半世紀前ほどに、パンナラル•ゴーシュ氏によって、より低音の出る竹笛や穴の数、位置などの研究の結果、バーンスリーも北インド古典音楽の主奏者の位置を預かるほどになりました。

このポイントにおいて、今まで軽快に高音域を担当していた装飾系の横笛は、より深くゆったりとした、情緒ある表現が可能になったようです。

パンナラル•ゴーシュ氏は、低音の出る深いバーンスリーで、あたかも古典声楽家のように歌うようなスタイルが特徴的でした。(ガヤキスタイル)

それらをベースに、現代では器楽向けのスタイル(タントリックスタイル)も取り入れられ、人間国宝の名誉奏者でもあられるハリプラサード•チョウラシア氏などをはじめ多くの古典奏者が活躍しています。

そして、即興音楽である北インド古典の体系と共に進化したバーンスリーは、その大きなバックボーンを糧に現代のあらゆる音楽と共に創造の可能性を広げています。



***クリシュナ神とバーンスリ-***

幼少期から青年期にかけてクリシュナ神は常にバーンスリーを持ち歩き至る所で、その甘露な至福の音を奏でたとされます。

特にゴークラやヴィリンダーヴァンにおける牛飼いの女性達(ゴーピー)や村人はクリシュナ神の吹くバーンスリーの音をうっとりと聞き惚れていた、、というような場面が神話には数多く出てきます。

このような事から古典楽器としての主奏や伴奏の他に、インド神話や信仰を愛する人にとって、バーンスリーという楽器の音色自体が、愛おしく神聖な対象として広く親しまれている側面も持ち合わせているようです。




15.8.2014. gumi
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2015年のインド滞在期間について 

ありがたいことに、今年もインド滞在における音楽修行が出来そうです。

滞在期間は1月13日〜4月20日の予定です。

現在の滞在•訪問予定箇所は、

カルカッタ
ベナレス
デリー
ヴィリンダーヴァン

などです。

もし、現地でお会い出来そうな方は是非ともご連絡ください。

留守中は大変ご迷惑をおかけします。いつもながら勝手な都合、申し訳ございません。

また、いつもこの時期に渡印させて頂ける事の周囲の皆様の多大なご理解に心から感謝いたします。



「インドが呼ぶ。」


正直、毎年そうです。

手を合わせて、祈りと学びを大切にいって参ります。

Love & Bliss.

新年のごあいさつ/Raga:Bhairav 

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ドレミファソラシドをインドではサレガマパダニサ(SRGMPDNS)といいます。
 
そして、一音一音に意味と正式名称があります。
 
Rはリシャバ(リシャブ)の頭文字。
 
リシ(賢者)の住まうところ。ここでいう賢者とは真理の探究者などをさします。リシケシというYOGAで有名な場所のリシもそうです。またマントラや宗教儀式に使用される音階は、このレの♭が強調されるものが非常に多くあります。
 
 
 
また、このSRGMPDNSもラーガが変われば、一音一音の強さや意味が変わってきます。
 
それぞれのラーガには演奏するべき時間帯が決まっているものも多いです。
 
 
 
Raga : Bhairav(バイラヴ)
 
直訳的にはシヴァ神の化身を意味するこのラーガは「日の出の時間」に演奏される神聖なもの。
 
BhairavではRとDが半音(♭)になります。
 
このラーガは誰が演奏してもこの半音のRはゆらめきを与えないといけません。
 
このゆらめきはSの水平線から太陽が昇りはじめ、朝焼けのゆらめきを半音のRが表現しています。
 

 
インド古典音楽は音の神秘をもって、とても自然に僕たちに語りかけてくるようです。
 
 
 
 
明けましておめでとうございます。
 
いつも多大な愛とご支援をありがとうございます。
 
今年もどうか宜しくお願いいたします。
 
Love & Bliss.
 
 
20141106宇宙の木_blog




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